定番の棹タイプを、きれいに盛り付けられる“切れている「ういろ」”へ刷新。製法は手作りにシフト。
多くのお客様に長年愛されている、棹タイプの「ういろ」。
大須ういろにとって大切な定番商品です。
米粉の蒸し菓子である「ういろ」の魅力はなんといっても、もっちりとした食感です。一方で、この弾力ゆえに「角まできれいに切るのは難しい」という声もいただいています。ご家庭で切り分ける際、包丁に引っ付くことがあり、きれいな四角い断面になりづらいのです。
「もっときれいに届けることができないだろうか」。
「おもてなしの席にも重宝するよう、美しくお皿に並べられるお菓子にしたい」。
こう考えていたところ、工場長にあるアイデアが浮かびました。
試作を経てたどり着いたのが、ひときれずつに“切れている棹ういろ”です。
佇まいは、これまで通り、棹状の1本です。
しかし1本を構成しているのは、5切れのキューブ状のういろ。
ひときれずつに切れているので、包丁を使うことなくそのままお皿に盛り付けることができます。
生まれ変わったのは、形状だけではありません。これまでの機械づくりから、昔ながらの製法を現代に置き換えた手づくりになりました。職人の手によって直接“生蒸気”を当てて蒸し、手作業でフィルムを巻いてからパックに詰めて真空包装と殺菌をします。手づくりにすることで、従来品よりも手間がかかります。時間も要します。それでも、今でき得るベストなういろにしたいと思ったのです。
同時に、原材料の見直しも図りました。
従来の「ないろ」には小麦粉が入っていますが、ほかの「ういろ」と同じ米粉のみを使ったグルテンフリーに。ういろにこしあんを練り込むシンプルな製法で、今までのないろよりもっちりとした食感になりました。
また、「黒」はカラメル色素を、「桜」は香料を不使用にしました。
さらに、パッケージもリニューアル。
商品名の文字は、書家の国分佳代さんの手によるものです。
箱に描かれた文様は、これまでのデザインを踏襲しつつ、サイズや表現方法を改めて検討。透明なニスを用いて、光の当たる角度や明るさによって、文様が浮き出るように見えたり、マットな質感に見えたりするニュアンスのある表現にしています。会社として大切に守るべきものは守りつつ、日々更新・革新に努める姿勢をパッケージに表現するとともに、お客様に手にとる楽しさや趣を感じてもらえるよう刷新しました。
定番商品だからこそ、もっときれいに、おいしく、安全安心に。
新しく生まれ変わった「ういろ」は、直営店とオンラインショップから販売を開始します。
大須ういろでは、今回の「ういろ」をはじまりに、さらにより良いものを追求し、商品を一つひとつ見直していこうと考えています。
私たちが今後挑戦するのは、原点回帰です。
それは、もっとおいしくする、手づくり製法へのシフト。商品の特性に合わせ、手づくりへと徐々に軸足を移していきます。そして、ういろの再価値化を目指します。
職人の真心と技が凝縮している。
蒸し菓子そのものの味わいと風味を楽しめる。
そんな手づくりういろの魅力を改めて伝えるため、この先何年も費やす長い道のりを歩んでいきたいと思います。