生地に小豆のこしあんを練り込んで蒸し上げた「ないろ」は、大須ういろが1957年に登録商標を取得したオリジナル商品。

地元でお馴染みのCM曲でも「ういろとないろ」と歌われ、ういろと並び、強い存在感を持つお菓子です。

漢字で表すと「内良」となり、「外良=ういろ」と合わせたセットは、縁起のよい語感から慶事でも重宝されてきました。

お客様からは時折、「ういろとはどう違うの?」というご質問をいただきます。

ふたつの違いは、食感にあります。ういろの「もっちり」に対し、ないろは「しっとり」。しっとりした中にも、小豆を使っているため、さっくりとした歯ぎれの良さも感じられます。

歯ごたえの違いの理由は、原材料が異なるためです。ないろは米粉のほかに小麦でんぷんを含んでいます。米粉のみの「ういろ」と、小麦粉を使う「蒸し羊羹」の中間に当たる位置付けなのです。

こうした昭和の時代から大切に受け継いできた伝統のないろに加え、今新しい試みも始まっています。

2020年12月、新発売したグルテンフリーの生ういろ「初-うい」のバリエーションの一つとして、ないろをラインナップ。米粉のみで手がけた、これまでにないないろを生み出しました。

従来とは配合が異なるため、こしあんの味わいと米粉の風味との微妙なバランスをとることが課題となりましたが、職人が何度も試行錯誤を重ねた結果、渾身の自信作ができ上がりました。

長くファンに愛されている歴史あるないろも、グルテンフリーの新しいないろも、大須ういろ独自の大切な製品です。

そしてこれからも、私たちの探求は続きます。

人々や社会が、食に求めるものは何だろう。その中で、ないろのあり方は、素材は、製法は、どうすべきだろう。

こう問いかけながら、歴史と伝統を踏まえつつ、新たな試みを繰り返し、成長を続けていきます。今の時代に寄り添う美味しさと安心の実現に向けて。