始まりは、栗との出合いでした。栗そのものの糖度と旨み、粒のボリューム感、ういろの甘みとのバランス、そして食の安心・安全に叶っていること。この栗を活かして、「ういろ」そして「ないろ」のおいしさを存分に味わえるお菓子をつくりたい。そこから「栗ういろ」「栗ないろ」の開発がスタートしました。

実はその頃、大須ういろは長年の人気商品「栗むし羊羹」の製造を中断していました。作り手として納得のいく栗を使うことができなかったからです。しかし、お客様から「もう作らないのですか?」との声も多く、私たちのイメージする栗を探しているところでした。模索をしていたなかで良い栗と出合い、これまでよりグレードを高めた新しいお菓子を目指し試行錯誤を重ねました。

私たちが取り組んだ最大の課題は、栗とういろとのベストバランスです。栗のごろんとした大粒感を楽しんでもらいたい。しかし、その存在感によって、ういろの持ち味が軽減されてしまうのではないか。栗のほっくりした歯応えと、ういろのもっちりした食感をともに満喫できる分量割合とは—。栗の分量やサイズ感を、何度も検討し試食を繰り返した結果、ひと切れの「ういろ」と相性の良い最適なバランスを見つけ出しました。甘みにも気を配り、栗とういろが全体としてやさしく穏やかな甘さにまとまるよう仕上げています。

また、「栗ないろ」の「ないろ」は、ういろにこしあんを練り込んだ大須ういろオリジナルの伝統菓子です。ういろ同様にお米の風味にこだわり、もっちり食感を大切に蒸しあげています。「栗ないろ」はこしあんと栗の味わいが互いを引き立て合い、相性が抜群です。

「栗ういろ」「栗ないろ」どちらも、職人がひとつひとつ生蒸気を当てて、丁寧に仕上げた手作りの逸品。ひと切れずつに切れているので、包丁を使うことなく、そのままお皿に盛り付けることができるのも特徴です。

2024年の正月三が日に大須ういろ本店でテスト販売したところ、一番人気となりました。別の機会に、温めて試食販売した際も大好評で、「うわぁ、おいしい」「こういうお菓子、これまで食べたことがない」などの声をいただきました。

この「温める」は、「栗ういろ」「栗ないろ」のおすすめの召し上がり方です。温めることで、米粉からつくる「ういろ」「ないろ」は、炊き立てのごはんのようにふっくらもちもちに。栗は一層ホクホクに。ご家庭でもちょっとしたサプライズのおいしさを楽しんでいただければと思います。

商品パッケージには、ういろづくりの過程でどうしても廃棄せざるを得ない先端部分などを活用した「ういろペーパー」を使用しています。フードロス削減やSDGsの観点から、ういろの廃棄物を紙に再生させたものです。その時その時の廃棄物に応じて、色合いが微妙に異なり、時に小豆や黒砂糖と思われる混ざりものも見受けられる、独特の風合いを持っています。

「ういろペーパー」をまとった、もっちり&ほっくり食感の「栗ういろ」と「栗ないろ」。秋冬の季節限定で登場します。