“伸びしろ”はまだまだある。ういろの可能性を広げ、新たな楽しみを提供したい。
—お菓子づくりに興味を持ったのはいつ頃でしたか?
小学生の頃から、食に限らず、ものをつくることが好きでした。プラモデルを組み立てたり、ミニ四駆を改造したり…それにホットプレートでホットケーキやフレンチトーストを妹弟と一緒に作ったり。おやつの見栄えはあまり良くなかったけど、「おいしいね」って楽しんでいましたね。
—大須ういろに入社されたのも、ものづくりが好きだったからでしょうか?
実は、大須ういろとは僕が保育園児の頃から縁があったんです。祖母がパートとして働いていたので僕もこの会社にもよく来ていて、当時の祖母のパート仲間や会社の人たちの印象から良いイメージを持っていました。それで10代の頃、大須ういろに入社したのです。しかし、工業系のものづくりへの興味もあって、そちらもやってみたくて自動車関連の製造業に転職しました。大須ういろは一度辞めたものの、15年ほど前に再入社し、製造に携わっています。
—再入社とはユニークな経歴ですね。今はどのような業務を担当していますか?
メインはウイロバーの製造です。ういろを切り出して、一つひとつにバーを差し、フィルムで真空パックするところまで関わっています。
—製造において難しいところはどこでしょう?
バーは手で差すため、慣れていても微妙に傾くことがあり、真っ直ぐきれいな状態にするのに気を抜けません。商品の美しさを左右しますし、後工程のフィルム包装の仕上がりにも影響しますから。バーは多い場合で、一日に1000本以上差すこともあります。以前、機械化しようと試行錯誤したところ、なんと手作業の方が早かったんです。ういろの弾力に対応しつつ、早く、きれいに、となると人の手が適していることが分かりました。差す工程では、集中力が途切れないように気をつけながら狙いを定め、無心で向き合っています。

—どんな時に職人としてやり甲斐や喜びを感じますか?
友人・知人から、ロングセラーや定番ではない商品について「おいしかったよ!」という声を聞いた時ですね。たとえば、季節のういろは定番商品ほどは知られていないのですが、こうしたういろを「知ってもらっている」「楽しんでくれた」と分かるとうれしいです。
—職人として日々大切にしていることは何ですか?
味わいはもちろん、美しさも重視しています。大須ういろの商品は、工程の半分は機械、半分は手仕事でつくっているものが多く、手仕事がある分、ばらつきが生じる可能性もあります。そこを極力抑えて、不揃いのないきれいな仕上がりを意識しています。そのためにも、面倒くさいなと思いがちなことも手を抜かないよう努めています。料理の下ごしらえやDIYなどでも、一見不要な手順のように見えて、省いたり適当にしたりすると、目指していた完成形と違ってしまうケースがありますよね?お菓子づくりでは、見た目や味に影響を及ぼさないよう、手間暇かかることや細やかなことも着実にコツコツと進めていくことが大切です。その上で、工夫や改良を加えられればベストですね。
—今度、どんなことに挑戦したいですか?
大須ういろでは、ういろの様々なバリエーションを世の中に発信してきましたが、すべて出尽くしたわけではありません。中には、試したけれどうまく固まらなかったり、目指した食感が出せなかったりした食材もあります。これからもチャレンジを続け、少しずつ形にしてお届けしたいです。伸びしろはまだまだ大きいですよ!
—改めて、ういろの良さとは何だと思いますか?
生菓子ほど敷居が高くなく、日本茶、コーヒー、紅茶などお好きな飲み物とともに気軽に楽しめるところです。名古屋市内の方なら、子どもの頃に学校給食でも馴染みのある身近な存在です。伝統があり、すでに多くの方が知っているお菓子でありながら、今後、楽しみ方が一層広がる可能性も高いと考えています。
—大須ういろとはどんな会社だと感じていますか?
従業員と経営陣、従業員と従業員との距離が近い会社だと思います。社長と普通に話ができるし、各部署でもスタッフ同士が気軽に声を掛け合っています。ちょっと気になることも相談しやすく、もし困り事があれば解決につなげやすい。そんなコミュニケーションの良さに加えて、チャンスをもらえることも会社の魅力です。試したいことにチャレンジできる環境が整っていると思います。
プロフィール
役職:製造部課長
仕事内容:製造全般
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