—パティシエであり、製造部の梶亜津紗係長にお聞きします。お菓子づくりにはいつ頃から興味があったのですか。大須ういろに入社した経緯も教えてください。

母がクッキーやカップケーキなどのお菓子や料理を作るのが好きだったので、私も幼稚園に通っていた頃から一緒に台所に立っていました。リンゴの皮をむいていたら、指を切って大騒動になったこともありましたね…。それでもずっと興味があり、子どもの時からお菓子づくりや料理を続けています。

成長してからは調理師専門学校へ進み、在学中に洋食店でアルバイト。その中で、料理よりお菓子づくりのほうが自分に向いていると感じました。計量をきっちりと行い、味にブレが少ないところがいいなと思ったんです。洋菓子製造に携わるようになり、しばらくして次にフードコーディネーターを目指します。勉強しながら飲食店など5軒掛け持ちで働いていましたが、結果的にお菓子づくりという原点に立ち返り、大須ういろに入社したのです。洋の創意も取り入れた和甘味を提供する茶房「緋毬」で、パティシエや店舗スタッフを務めるようになりました。

—「緋毬」を経て、2020年12月に新発売された生ういろ「初-うい」の商品開発に関わりました。新しい概念の商品を生み出すのはどのようなことが大変でしたか。

本社工場勤務となり、「こどもの初」の「なでしこ」という商品の開発に携わりました。その味は、チョコレート、メープル、いちごミルク、ラズベリーなど、従来とは違う個性的な展開になっています。開発段階で困ったのは、フルーツ系の素材を加えると、ういろの原材料である米粉が固まらなくなることです。フルーツピューレにあらかじめ火を通したり、でんぷんの種類を変えてみたりといろいろな解決方法を考えました。パティシエとしての経験はあるものの、ういろの概念はあまり明確ではなく、社内で試作品を食べてもらったら、今ひとつな反応で…。正直、どこを目指せばよいのか整合性が取れず、戸惑いや葛藤がありました。それでも諦めず、使う材料を変え、配合比率を細かく調整。数十回以上の試行錯誤を経た末に、味と食感のバランスが取れた生ういろが完成しました。

—作り手として難しいと感じるところ、また逆に、やり甲斐や喜びは何でしょう。

ういろは洋菓子よりも水分量が多い上、蒸す時間が長く、なかなか単純にはいかないと感じています。「初」の開発過程の時と同じように、材料を混ぜ合わせたいのに、うまく混ざらない!ということがあります。作りたい味を、ういろで表現するのは難しいですね。

だからこそ、できあがったものに社内外から「おいしい」という声を聞けるとうれしいです。むしろ、これがないと作り続けられないかもしれません。

—これまでとは違った技術が求められているういろですが、その特徴や魅力をどう捉えていますか。

ういろはシンプルな配合と工程のお菓子です。特別なものが必須ではないから逆にハードルが高いし、新しい付加価値を提案できる可能性を持っていると思います。

魅力はやはり、もっちり感です。なかなかない独特の食感ではないでしょうか。常温で保存OKというのも、ほかのお菓子にはない特徴ですよね。一方で、「初」は保存が利きませんが、これまでにない生ういろ。より多くの人に伝わってほしい美味しさです。

—今後の目標は何でしょう。

まだこの世にないものを生み出したいです。パティシエの経験から、あれとこれを組み合わせたら美味しいだろうとイメージを描いたり、「初」の開発過程で様々な材料にふれた経験を発展させたりして、頭の中で味を組み立て、それを実際に表現できればと思います。洋菓子での積み重ねを生かして、新しいものを作りたいですね。

—大須ういろという会社の魅力を教えてください。

挑戦をさせてもらえるところです。茶房にいた頃は、甘味処であっても焼き菓子をゼロから開発したり、かき氷の味を提案したりと自由にいろいろチャレンジできる機会をいただきました。これは経営層の考え方が柔軟でフットワークが軽快だからだと思います。やりたいことがある人に良い職場環境だと感じています。

プロフィール

梶亜津紗

役職:製造部係長

出身地:愛知県豊田市

仕事内容:「初-うい」の開発や仕込みなど